西宮北口の兵庫県立芸術文化センターで、岡田利規『未練の幽霊と怪物―「珊瑚」「円山町」―』を観劇した。

建物は、モダンなギリシャ神殿のようで、灰色の細い柱外縁をぐるりと囲みその間からガラス窓が透けて見える。

二階の中ホール前に開場直前に到着すると、すでに二十人ほどが二列になって整列していた。久しぶりの観劇で失敗はしたくないので、入念に二回もトイレに行った。

劇は「能という構造を借りた舞台」それくらいの認識で観た。

僕は能を観たことがないため、何が、どう能をベースにしたのかははっきりと分からない。だから能をどう現代に用いるのか?という視点ではなく、至極簡単に楽しめるだろうか楽しめないだろうかと期待と不安を抱えながら観た。そんな不安は、劇の冒頭に弦楽器から飛び出した女性の叫び声のような音によって吹き飛ばされてしまい、そこからは生と死が入り混じるような世界観に没入していった。

第一演目は「円山町」。東電OL殺人事件をテーマにした作品。

第二演目は「珊瑚」。辺野古埋め立てによる珊瑚の移植をテーマにした作品。

登場人物が未練をもつ存在と出あうシンプルな物語に(出会いで登場人物が何か変わるとかそう言うことは一切なしで、本当にただ出会うだけでビックリするも清々しくていい)、長尺の踊りが見どころのエンディングとして用意されている。この構造がきっと「能」をベースにしているのだろうけど、構造を探りながら観た観た第一演目の「円山町」の方を楽しみ、第二演目は構造がわかっているが故に頑張りながら観ることになった。

能への入口としては楽しく、岡田利規さんの「現代語訳 風姿花伝・三道」も読みたくなった。